受付時間 | 平日10:00~最終受付け16:30 ※土曜・日曜・祝日は応相談 |
---|
アクセス | JR大塚駅・都電荒川線大塚駅前駅から 徒歩3分 東京メトロ新大塚駅から徒歩5分 |
---|
2 判例
無催告失効条項が,消費者契約法の10条に照らして,無効なのか,有効なのかについて扱われた事例が,最高裁判所第二小法廷判決平成24年3月16日です。この判例は,生命保険に関する判例の中で,もっとも有名なものの1つです。
この判例は,無催告失効条項が消費者契約法10条に該当するかどうかについて,この消費者契約法10条の前段・後段ごとにわけて検討し,次のように判示しました。
① 消費者契約法10条前段との関係
まず,10条前段との関係ではどうなのかというと,民法541条が,相当程度の期間を設けて催告することを定めているのは,履行のチャンスを与えるというものだ,保険契約者は保険料の未納に気づかないこともあり得る,だから,催告をしないで保険契約が失効してしまうような無催告失効条項によって保険契約者が受ける不利益は,小さくないのだ,と判決は示します。
つまり,無催告失効条項は,消費者契約法10条の前段には該当するぞ,と言っているわけです。
ここまで判決文を読むと,では,無催告失効条項は無効になりそうだ,ということになりそうな雰囲気です。しかし,判決は続けます。
② 消費者契約法10条後段との関係
第1に,判決は,この事案の約款では,一か月の猶予期間を設けているし,「自動振替貸付」の制度も定められているよね,と言います。猶予期間については,こちらのページをご覧になってみてください。
「自動振替貸付」というのは,保険料の口座引き落としが残高不足などでできなかったときでも,一定の金額の範囲内で,保険会社が保険料を建て替えるという制度のこと。
だから,判決が言うには,一回の保険料未納があったくらいでは,簡単には失効しないような仕組みが,約款に定められているでしょ,ということです。
第2に,判決は,この保険契約が結ばれた当時のこととして,保険料の未納が一回あったら,保険会社が保険契約者に対して,保険料を払ってくださいね,という督促活動を行う態勢をととのえて,その活動の実務上の運用が,きちんと確実にされていたというのであれば,保険契約者は,未納に気づくでしょ,と言います。
まとめると,判決は,A:約款で猶予期間とか自動振替貸付が決められていて,かつ,B:保険契約の当時に,督促態勢がととのえられて,運用を確実にしたうえで,約款を適用しているのだといえれば,その無催告失効条項は,消費者の利益を一方的に害するとはいえないから,消費者契約法10条後段に該当しないのだ,と言うのです。
結論として,約款の無催告失効条項は,消費者契約法10条に該当しないから,無効とはいえない,ということになります。保険会社は一安心,というわけです。
そして,最高裁判所は,東京高等裁判所へ事件を差し戻しました。実は,この事件は,最高裁に上告される前の東京高等裁判所では,無催告失効条項は無効だ,と判断されていたのです(平成21年9月30日)。この平成21年の東京高等裁判所の判決は,保険業界にとって,結構ショッキングなものだったようです。
でも,記事は,これで終わりではなく,この件についてのお話を続けたいと思います。次のページで,もう少しだけ続けます。
●無催告失効条項の有効性(その1)は,こちら
お電話でのお問合せ・相談予約
<受付時間>
平日10:00~最終受付け16:30
※土曜・日曜・祝日は応相談
フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。
〒170-0005 東京都豊島区南大塚3-44-8 アイリスビル2階
JR大塚駅・都電荒川線大塚駅前駅から徒歩3分、東京メトロ新大塚駅から徒歩5分
平日10:00~最終受付け16:30
土曜・日曜・祝日ですが,ご相談に応じ,スケジュール次第では,出勤可能です。